2-2.離婚調停とは


離婚調停とは

相手が協議離婚に応じないときは、家庭裁判所に調停の申し立て(夫婦関係事件調停申立書)を行います。申し立ては夫婦いずれかが申し立てをし、第三者(親・兄弟や弁護士等)が申し立てることはできません。なお、調停については有責配偶者(不貞等をした側)からの申し立ても可能です。

申し立てのできる裁判所は原則として「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所」か「夫婦双方が合意した家庭裁判所」です。ただし、特別の事情(経済的事情等)があって、相手方の住所地を管轄している家庭裁判所へ赴けないときは「自庁処理」を申し立てることで、自分の住所地を管轄する家庭裁判所で調停を処理してもらうことができます。

申し立てに必要な書類や記入事項は以下の通りです。

・申立人と相手方の戸籍謄本1通ずつ

・印鑑

・申立人と相手方の本籍・住所・連絡先

・親権者・慰謝料・財産分与・養育費等の要求事項

・申し立ての実状と動機

・印紙代(1200円)と切手代(1000円前後)

 

調停の手順

(1)調停期日呼出状の送付

申し立てが受理されると家庭裁判所より「調停期日呼出状」が申立人・相手方双方に送付されます。指定された期日に出頭できないときは、事前に家庭裁判所に赴き期日変更申請を提出する必要があります。

(2)調停の開始

指定された期日に出頭すると調停が始まります。なお、出頭は原則として当事者自身が出頭しなければなりません。やむを得ない事情があるときは弁護士や家庭裁判所の許可を得た代理人等を出頭させることができます。
なお、正当な理由がないのに出頭しないときは、相手方に対し家庭裁判所は5万円以下の過料(罰金)を処します。相手方が過料に処されてもなお出頭しないときは、調停を不成立にして地方裁判所に提訴する必要があります。

相手方が無事出頭してきたときは、調停委員を介して話し合いが行われます。話し合いと言っても申立人と相手方が、同じテーブルで話し合いをするわけではありません。調停室に交互に呼び出されて調停委員に対して意見を述べます。

(3)調停の終了

調停は1ヶ月に1回程度のペースで行われ、大体4~6回程度で終了します。調停の終了には幾つかのパターンがあります。

 

a)調停成立の場合

調停の内容にお互いが合意し、調停委員が認めたときに調停は成立します。

審判官(裁判官)と書記官が立ち会い、「調停調書」を作成します。この調書が作成された時点で離婚が成立します。調停調書ができたら、離婚届を作成し「調停調書謄本」を添えて、10日以内に申立人が役所に提出します。

b)調停不成立の場合

相手方が再三に渡り出頭しなかったり、調停の内容のお互いが譲らなかったときは不成立(不調)になります。
不調に終わった場合は、2週間以内に提訴することで裁判へ移行することができます。

c)調停取り下げの場合

申立人の気持ちや事情の変化によって、いつでも調停を取り下げることができます。取り下げるにあたって理由や相手方の合意は必要ありません。

 

履行の義務

調停で合意した内容というのは、判決と同等の効力を有します。養育費や慰謝料・財産分与等合意した内容を相手方(以下、義務者)が履行しない場合、勧告や命令・強制執行を行うことができます。

いきなり強制執行を行うことも可能ですが、費用がかかる上に強制執行を行うことで相手方を刺激してしまう恐れがあります。通常は「履行の調査・勧告」や「寄託」→「履行命令・制裁」→「強制執行」の順で行います。

なお、協議離婚で公正証書が作成されていない場合は、これらの手続きは簡単にはできないかと思います。

(1)履行の調査・勧告

調停が成立した後、義務者が合意内容をなかなか履行してくれない時は、調停をしたときの家庭裁判所に遅延理由の調査と勧告を申し立てることができます。申し立てに費用はかかりません。
勧告ですので法的拘束力はありませんが、裁判所が表立って動いてくれるので押しに弱い人であれば払ってくれるかもしれません。

(2)寄託

寄託制度は、義務者から申立人(以下、権利者)に直接慰謝料等を支払うのではなく、家庭裁判所を介して支払うことで当事者間の新たなトラブルを防ぐ効果があります。

寄託の条件として調停成立の時に双方が合意するか、調停成立後、履行が遅れることが度々あった後に義務者の合意を得た上で調停をした家庭裁判所に申し出ることができます。義務者が合意しない場合はこの制度は利用できません。

また、寄託が認められても3年以上、義務者が寄託を申し出なかったり、権利者が履行の調査・勧告・命令を申し立てなかったときは、家庭裁判所は寄託事務を終了させることができます。

(3)履行命令・制裁

義務者が家庭裁判所の勧告を無視した場合、調停をした家庭裁判所に「履行命令」を申し出ることができます。裁判所がこれを認めたときは、義務者に対し期限を定めて義務の履行をすべきことを命令することができます。なお、申し立てには300円の手数料が必要です。

万一、義務者が正当な理由なく履行命令に従わないときは、家庭裁判所は10万円以下の過料(罰金)に処しますが、法的拘束力はありません。

(4)強制執行

義務者が履行命令にも応じないときは最後の手段として、義務者の財産を強制的に差し押さえる強制執行ができます。
差し押さえできる対象としては、義務者の給与や預貯金口座、車、不動産等があります。

手続きは上の3つに比べると手間暇がかかる上に、費用もかかります。ですのでこの方法は、「最後の手段」と思って下さい。

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