協議離婚とは
日本における離婚のほとんどはこの方法です。協議離婚はお互いが離婚に関して同意していれば可能で、特に離婚理由というのは必要ありません。夫婦間で条件等がまとまれば、離婚届に署名・押印して役所に届けを提出することで離婚が成立します。
簡単に手続きができるため、ほとんどがこの方法です。しかし、感情的になり離婚を急ぐ余り慰謝料や財産分与、養育費等を決めずに離婚してしまうことも多く、後にトラブルになるケースもあります。
このため、離婚する際は事前に十分な準備をして、後悔しないようよく考え納得した上で離婚届を出すことが重要です。できれば、離婚届を出す前にもう一度良くお互いに話し合って下さい。
なお、相手が離婚に応じない場合は協議離婚はできません。相手が応じないときや離婚する際の条件が合わないときは家庭裁判所に調停の申立を行います。
離婚するに際して決めておかなければならないこと
離婚に際し、一般的に以下の条件を決めておかなかなければなりません。特に子供の親権に関しては、予め決めておかないと離婚届を出すことができません。
(1)慰謝料
(2)財産分与
(3)子供の養育費
(4)子供の親権及び監護権
(5)子供の氏
(6)子供の面接交渉権
(7)離婚後の氏など
条件がまとまったら、決めた内容を協議離婚書(念書・覚書などでも一緒)を2通作成してお互いに1通ずつ持っておきます。
なお、金銭面に関して将来的に不履行の可能性があるときは、公証役場に出向いて離婚協議書を公正証書にしておく必要があります。公正証書にしておくと判決と同様の効力を持つため、強制執行などを行うこともできます(書面に強制執行できる旨を記載しておく必要があります)。
ただし、公正証書にした場合でも強制執行力できるのは慰謝料、財産分与、養育費等の金銭の支払いを目的としたものだけに限られています。金銭以外の事に関しては、強制執行力はありませんが、証拠として記載しておきます。
離婚届の提出
離婚届を役所に提出するにあたり、以下の書類が必要です。
(1)離婚届
(2)戸籍謄本
(3)調停調書の謄本(調停離婚のみ)
(4)審判書の謄本と審判確定証明書(審判離婚のみ)
(5)判決書の謄本と判決確定証明書(裁判離婚のみ)
離婚届と戸籍謄本について
離婚届は、住所地または本籍地の役所に提出しなければなりません。
本籍地によっては、離婚届と添付する戸籍謄本の枚数が異なってきます。
夫婦の本籍地 | 戻る戸籍または 新しく作る戸籍 |
離婚届の枚数 | 戸籍謄本 |
本籍地と同じ市区町村 | 本籍地と同じ市区町村 | 1通 | 不要 |
本籍地と同じ市区町村 | 他の市区町村 | 1通(新しく作る場合) | 不要 |
2通(元の戸籍に戻る場合) | 元の戸籍の戸籍謄本1通 | ||
他の市区町村 | 住所地と同じ市区町村 | 2通 | 夫婦の戸籍謄本1通 |
他の市区町村 | 他の市区町村 | 3通 | 夫婦の戸籍謄本1通 元の戸籍の戸籍謄本1通 |
離婚届を提出するにあたり、協議離婚の場合は証人として成人2名の署名・捺印が必要になります。また、未成年の子供がいる場合は親権者を予め決めておく必要があります。
婚姻中の姓を名乗りたいときは?
離婚するときもしくは離婚から3ヶ月以内であれば、「離婚の際に称していた氏を称する届」を本籍地または所在地の役所に提出することで、婚姻中の姓を名乗ることができます。離婚届と同時に出すのであれば、この届を一緒に出すだけです。別に出すのであれば、戸籍謄本と印鑑が必要になります。
離婚届の不受理申出
離婚届に署名・捺印したけれど、その後気持ちが変わって離婚したくなくなったり、相手が離婚届を偽造(勝手に署名・捺印)してしまう場合、役所に「離婚届の不受理申出」をすることによって、離婚届の受理を止めることができます。
「離婚届の不受理申出」は、本籍地または住所地の役所に提出します。この申出の有効期間は6ヶ月となっています。6ヶ月以上申し出る場合は、6ヶ月の期間満了ごとに更新の手続きをする必要があります。また、有効期間内で双方が合意して離婚届を提出する場合は、「不受理申出の取下書」を提出した上で、離婚届を提出する必要があります。